シーン18「ママの日記」

 十一月のとある休日。

 今日は庭に出てクルルとひなたぼっこ。
 空にはムックルが飛び、もうじき冬なのかなと思うけれど、今日はわりと暖かい。ああ、いい天気だ。
 クルルはじっと蜻蛉玉を見つめている。それを取り上げてみると、爪先立ちをして手を伸ばして必死に取ろうとしている。その姿がどこかいとおしくて抱き上げると、この子もとっても温かい。

 枯れた草に寝転がると空が見えて、雲がゆっくり流れている。
 今度は何か変な物体が飛んでいる。あれは……マスキッパ? よくわからないけれど、のどかだった。ゆっくりと流れる時間。
 その時、クルルが私を飛び越え走っていった。急にどうしたのだろう。空いた窓から中に入ってしまうクルル。パパの部屋だった。

 部屋に行くと、書類や、本だらけの部屋。パパの部屋は物で溢れていた。
 よくみるとタンスの隙間からしっぽがひょいと出ていた。頭隠して尻隠さず、か。
 気配に気づいたのか、びくっとするクルル。驚かせてしまったかな。抱き上げると、緊張で体を硬くしているのが分かった。何があったのかよく分からないけれど、抱きしめて頭をなでるとクルルも落ち着いたようだった。本当に急にどうしたのだろう。

 そういえば、今思えば、この部屋はママの部屋でもあった。それで気づいたのだけれど、もしかしたらママに関わるものが見つかるかもしれない。そう思って、棚を開けてみると、ママの衣類が綺麗にたたんであって、その下に何かあるのを見つけた。取り出してみると、Diaryと書かれている。日記帳だった。
 ぱらぱらとめくってみると、綺麗な字で各ページが埋まっている。しかし、あるページを境に白紙が続いていた。
 最後の日付は12月23日。あの日の一日前……

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12月23日  晴れ

 明日は晴れ。
 ちょうどいい具合に月が欠けてきた。
 そういえば、去年のころ頃はあの人と一緒にあの星を見つけたっけ。
 明日も晴れていたら、みんなで星を見に行こう。
 きっと良く見える。

 明日は仕事も早く終わるし、帰ってきたら腕を振るって料理しよう。
 明日の夜は楽しいだろうな。
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 そこから先はもう白紙だった。
 ママがパパと一緒に星を見ることはない。だってあの日にママは……

 その時に気づいたのだ。そんなわけはない。もう一度読み返した。何回も読み返した。そんなわけないのに。
 一体どうなっているの?